山形にフル規格新幹線を

取り残された庄内(上) 羽越、上越同一ホーム化

2017年12月01日
新幹線と在来線の同一ホーム化に向け、最終的な工事が進むJR新潟駅。中央の改札を挟み左側が新幹線、右側が新たに高架された在来線のホーム=11月22日、新潟市
新幹線と在来線の同一ホーム化に向け、最終的な工事が進むJR新潟駅。中央の改札を挟み左側が新幹線、右側が新たに高架された在来線のホーム=11月22日、新潟市
 本県をルートにフル規格の奥羽、羽越両新幹線の整備構想がある。奥羽新幹線は福島―秋田を結び、羽越新幹線は富山―庄内地方―青森をつなぐ。羽越新幹線は東京、大阪の2大都市圏を視野に入れ、日本海側の国土軸を形成する上で重要な路線だが、奥羽新幹線と同様に、1973(昭和48)年に基本計画に位置付けられてから40年以上も進展がない。沿線自治体などの同盟組織は機運醸成に向けた運動を強め、整備実現を目指している。

 庄内地方から首都圏への鉄路は、羽越本線の特急いなほに乗車し、新潟駅で上越新幹線に乗り継ぐルートが最速だ。庄内―新潟間の所要時間は約2時間。新潟―東京間も同じく2時間程度を要する。東京や太平洋側を中心とした高速鉄道網が優先され、日本海側の庄内は取り残されてきた。

 庄内5市町と経済団体は昨年、県の動きに呼応して県庄内地区羽越新幹線整備実現同盟会を発足させた。既存組織を改組し「羽越新幹線」の旗を掲げた同盟会は、フル規格新幹線を中長期的な目標に据えながら、強風などで運休・遅延が相次ぐ羽越本線の安定性、新潟までのアクセス時間を短縮する速達型特急の新設などを求めている。

 こうした中、新潟駅で上越新幹線と羽越本線の同一ホーム乗り換え事業が来年4月末にも開始される見通しとなった。乗り換えでホームを移動する必要がなくなり、利便性の向上が見込まれる。同盟会は、今回の同一ホーム化を「大きな目標」に向けた機運醸成への好機と捉えている。

 羽越本線、上越新幹線の同一ホーム化を含む、新潟駅周辺整備事業は2006年度に始まった。駅を中心に分断する南北市街地の一体化や周辺道路の渋滞緩和などが目的だ。駅と在来線を含む全路線の高架化と、高架下のスペースを生かした交通広場を起点に路線バスが往来する新たな流れが生まれる。総事業費は約885億円に上る。事業主体の80万人都市・新潟市によるとJR東日本が約8%、残りは市が45%、国が55%の割合で負担する。

 現在、地上を走る在来線と高架ホームに乗り入れる新幹線との移動には、高低差16メートルの階段を利用する必要がある。大きな荷物を手にした帰省客や子ども連れ、高齢者らにとって、階段の上り下りは負担だ。同一ホーム化で、在来線と新幹線の乗り換えがスムーズになる。

 最終的な高架駅の全面開業は21年度ごろだが、第1期開業として来年4月末の大型連休前にも、上越新幹線と羽越本線特急いなほが同じホームを発着する。新潟市都市政策部の担当者は「時間にして3分程度の短縮が図られる」とし、JR側は「乗客の安全な移動につながる」と効果を説明する。

 「新潟市の努力に大変感謝している」。鶴岡市の佐藤光治地域振興課長は同一ホーム化による時間短縮に大きな期待感を抱く。乗り換えの移動時間や距離の短縮もあるが、新幹線と在来線特急の一体化という意識効果が大きいとみる。佐藤課長は「上越新幹線と特急いなほがつながっている、というイメージを持ってもらうことが大事」と話す。

 県庄内地区羽越新幹線整備実現同盟会は、同一ホーム化を機に、事業効果を引き出す施策をJR東日本に要望。新幹線と特急いなほの乗り換えで待ち時間が少ないダイヤ改正、現在よりも停車駅が少ない速達型特急を羽越本線に新設するよう求めている。要望内容が実現すれば、移動に4時間以上かかる庄内―東京間が、鶴岡から3時間10分台、酒田から3時間30分台になると試算する。

 新潟・庄内エリアを対象にした大型観光誘客事業「デスティネーションキャンペーン」が19年秋に控えている。日本遺産、日本ジオパークなどが集中する庄内に交流人口拡大の追い風が吹く。同一ホーム化の効果を引き出し、フル規格新幹線への機運を一層高めなければ、庄内の将来への道筋は見えてこない。

(「山形にフル規格新幹線を」取材班)

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