やまがた観光復興元年

第2部・原点に立ち返る[4] 出羽三山Ⅰ

2014年03月02日
女人禁制が解かれ、大勢の女性が押し寄せる「女講中」の様子を描いた板絵のレプリカ。出羽三山は東日本の広い範囲から信者を集めていた=西川町
女人禁制が解かれ、大勢の女性が押し寄せる「女講中」の様子を描いた板絵のレプリカ。出羽三山は東日本の広い範囲から信者を集めていた=西川町
 道を埋め尽くすほどに押し寄せる女性たち。喜々として向かう先は出羽三山。明治時代に女人禁制が解かれた際の「女講中」の様子を描いた板絵(1889年奉納)が、西川町の口之宮湯殿山神社(最上大元宮司)に残る。江戸時代、「西の伊勢参り」(三重県)と並んで「東の奥参り」と称された出羽三山への参拝は庶民のあこがれを集め、東日本を中心に参拝者が詰め掛けていた。

 開山から1400年超の歴史を刻む。明治時代には神仏分離と修験道廃止の命令が出され、社会情勢が大きく変化しても、山伏修行の厳格なスタイルを守り続けてきた。「庄内と内陸にまたがり、山形全体を守ってきた山。先祖が大切につないできた思いを伝える場だ」と出羽三山神社(鶴岡市、緒方久信宮司)の吉住登志喜企画広報室長(54)は言う。

 その出羽三山の開祖とされる蜂子皇子(はちこのおうじ)の御尊像が今年4~9月、史上初めて一般公開される。12年に一度の羽黒山午(うま)歳御縁年に合わせた事業で、10年ぶりに本県で単独開催されるデスティネーションキャンペーン(6~9月)とも重なる。

 「東日本大震災から3年を経過しても復興半ばの今、人々の苦悩を救った皇子の姿を見ていただこう」と同神社。震災後、祈りの旅のニーズは着実に高まっている。

 今年6~9月に本県で開催される国内最大規模の観光誘客事業デスティネーションキャンペーン(DC)を前に、昨年同時期に行われたプレDCで、あらためて観光資源としての魅力を知らしめたのが、国宝・羽黒山五重塔(鶴岡市)だ。東北復興の祈りを込めて希望の光を放とうと7月13日~9月16日、ライトアップされ、初めて夜間の一般参拝を受け入れた。

昨年7~9月に行われた国宝・羽黒山五重塔のライトアップ。漆黒の闇に浮かび上がる神秘的な光景が話題を集めた=鶴岡市羽黒町
昨年7~9月に行われた国宝・羽黒山五重塔のライトアップ。漆黒の闇に浮かび上がる神秘的な光景が話題を集めた=鶴岡市羽黒町
■神秘的な光景
 これまでも何度か検討されたが、安全面が課題になり、できずにきた事業だ。しかし、DCに合わせて庄内の2市3町と戸沢村の行政、民間事業者で組織する庄内観光コンベンション協会と出羽三山神社(同)が協力、実現した。

 安全確保のため、神域の入り口にある随神門から五重塔まで約300メートルの参道には、景観に配慮した上で約10メートル置きに照明を設置したほか、警備員と補助員の計4人を配置。地元企業や団体の寄進を募ってちょうちんを56個用意し、参拝者に貸し出した。山形交響楽団員やオカリナ奏者らによる演奏会も3回開催。神秘的な光景に約2カ月間で4378人が訪れた。

 今年はDC期間の6月14日~9月13日に実施する方針だ。JR東日本は、山伏の案内でライトアップを見学する旅行商品の販売を決定。地元も、特産品や飲食を提供できる場を門前に設けてもてなそうと準備を進めている。昨年好評だった演奏会は回数を増やすべく、奏者を一般募集する予定だ。同協会事務局長の大通薫県庄内総合支庁観光振興室長(52)は「五重塔から地域全体ににぎわいを広げていきたい」と意気込む。

■伊勢との違い
 昨年20年ぶりの式年遷宮に沸いた伊勢神宮(三重県)と同じように、出羽三山には“本物”を求めて参拝者が、観光客が訪れる。ただ、山岳修験の霊場だったゆえに奥山に位置し、冬は月山、湯殿山が積雪で登拝ができない、といった違いが伊勢とはある。

 さらに、出羽三山への観光誘客を考える際、課題になっているのが2次交通だ。伊勢神宮と羽黒山の交通条件を比較すると、鉄道利用で東京駅から伊勢の最寄りの伊勢市駅まで3時間~3時間半、鶴岡駅までは最短で3時間半とそれほど変わらない。しかし、羽黒山の場合、駅からのバスは1日10本程度に限られる。

 DC期間中は、「できるところから対策を」とする県が、事業者が県外客向けにレンタカーの特別割引を実施した際の補助事業に乗り出す方針を示した。周辺エリアからのバスの運行やタクシーツアーの実施を探る動きもあり、DC後の継続的な対策が求められる。
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