やまがた観光復興元年

第5部・結ぶ[4] 北村山・そば三街道(上)

2014年06月02日
多くのそば好きが足を運ぶ北村山地域。ソバ畑が広がる風景も人気の一つになっている=昨年7月、村山市富並
多くのそば好きが足を運ぶ北村山地域。ソバ畑が広がる風景も人気の一つになっている=昨年7月、村山市富並
 休日の北村山地域。そば店の駐車場には県外ナンバーの車がずらりと並んだ。仙台、宮城を中心に岩手、福島、千葉、那須―。そばの里の味を求め、遠くから次々と家族やグループが足を運ぶ。「田舎の雰囲気を楽しみながら手打ちそばを味わいたかった。仙台から車で2時間くらい。ドライブにはちょうどいい距離」。仙台市泉区の自営業大友洋和さん(49)は大石田町に夫婦で足を運んだ理由を語る。そしてこう付け加えた。「ここのそば街道は仙台でも観光地としての人気が高い。ここは自然が豊かだし、温泉もあってとてもいい場所だ」

 寒暖の差が大きい本県は良質なソバが取れる全国有数のそばどころ。各地にそば店や農家、団体、自治体による「そば街道」があり、技術向上や情報発信に努めている。その中でも高い人気を誇るのが、北村山地域にある最上川三難所そば街道(村山市、14店)、おくのほそ道尾花沢そば街道(尾花沢市、11店)、大石田そば街道(大石田町、14店)だ。

 県観光交流課の統計によると、そばを求め、2012年度に大石田の街道に19万1600人、村山へ17万700人、尾花沢へ16万4千人が足を運んだ。合わせて53万人。その“3強”が2003年7月、ライバル関係を超え「おくのほそ道最上川そば三街道」を誕生させた。それから10年余。一層の飛躍に向けて「連携」と「競争」を重ねている。

 県内の先駆けとして村山市に「そば街道」が誕生したのが1994年10月。昔から各家庭で食べられてきたそばを多くの人に味わってもらい、地域活性化につなげようと、最上川沿い15キロの道のりに点在する13のそば店が集結、「最上川三難所そば街道」と命名し、活動が始まった。98年11月には大石田が、99年10月には尾花沢が続き、それぞれそば店が協力し合いながら、イベント開催やPR活動、福祉施設訪問などを行い、知名度を高めてきた。

 ■異なるソバ品種
 一つの疑問が浮かぶ。三つのそば街道に属する計39店は、半径15キロほどのエリアに集中する。なぜ「共生」できるのか。おくのほそ道最上川そば三街道の高橋昭治顧問(80)=大石田町横山=が答えてくれた。「村山は香りの良い『でわかおり』、尾花沢は甘みがある『最上早生』、大石田は風味豊かな『来迎寺在来』。各街道で使うソバの品種は異なる。それぞれに個性があり、人を引きつけている」

仙台圏で高い人気を誇る北村山地域のそば店。休日にもなると駐車場には県外ナンバーの車がずらりと並ぶ=大石田町次年子
仙台圏で高い人気を誇る北村山地域のそば店。休日にもなると駐車場には県外ナンバーの車がずらりと並ぶ=大石田町次年子
 各街道の誕生により「そばどころ北村山」の認知度は高まり、足を運ぶ人も増えた。そして2003年、さらなる高みを目指そうと尾花沢そば街道の高橋晃治会長(62)がほかの二つの街道の役員に呼び掛けた。「単独よりもまとまって活動しよう」。個店で取り組むよりも40近い店で協力した方が発信力は強い。2市1町での行動によってより大きなインパクトが生まれる。賛同を得て、おくのほそ道最上川そば三街道が発足した。大石田そば街道の芳賀清・前会長(64)は「もともとそばの里として知名度があった2市1町。まとまることで想像以上の力となり、行動範囲も広がった」と振り返る。

 ■3割超が県外客
 結集の最大の成果が仙台圏からの集客アップだ。県や市町からパンフレット作成などの支援を受け、04年から10年まで計5回、仙台市での「仙山交流味まつり」に独自に出店。三つの街道の味が同時に楽しめると長い列ができる人気となった。宮城県塩釜市内のすし店でつくる「すし海道」との連携も深め、04年から07年にかけては船上でそばとすしを同時に味わえる海上クルーズも実現させた。新聞やグルメ雑誌などに取り上げられるようになり、評判は瞬く間に広がった。

 12年度、三街道に足を運んだ計53万人のうち、県外客は3割超の17万5千人。このうち仙台圏からの観光客が最も多く、平日でも宮城、仙台ナンバーの車が行き交う。高橋会長は力を込めて語る。「協力し合ったからこそ、村山、大石田、尾花沢のそばがおいしいとの声が仙台圏で定着した。今後も協力を続けながら東北各県、そして首都圏でも知名度を高めていきたい」
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