やまがた観光復興元年

第5部・結ぶ[7] 異業種の連携

2014年06月05日
酒田市ホテル振興協議会に加盟するホテルは、お薦めの地元飲食店をまとめたマップをフロントで配布している=同市・ホテルリッチ&ガーデン酒田
酒田市ホテル振興協議会に加盟するホテルは、お薦めの地元飲食店をまとめたマップをフロントで配布している=同市・ホテルリッチ&ガーデン酒田
 ホテルが施設内のレストランではなく、外の飲食店を紹介する―。そんな異業種の連携が酒田市内で展開されている。酒田市ホテル振興協議会(会長・熊谷芳則ホテルリッチ&ガーデン酒田社長)に加盟する6ホテルそれぞれが「宿泊客に自信と責任を持って紹介できる飲食店」を推薦。計50店舗をまとめた「さかたのうめ何処(どこ)ガイドマップ」をフロントで配布している。

 観光協会や飲食店組合がこうしたマップを作成する例は珍しくない。この場合、趣旨に賛同した店が全て掲載されるケースが多い。一方、酒田市ホテル振興協議会発行のマップに掲載されるのはホテルが推薦した店だけ。飲食店に行った後、帰ってくる宿泊客に紹介するとあって、ホテル側が、味はもちろん接客対応なども評価し、店を選んでいる。

 ほとんどのホテルが施設内にレストランを備えていたり、居酒屋を併設したりしているにも関わらず、なぜ客を外に“逃がす”ようなことをするのか。熊谷会長は説明する。「お客さまがその土地の店で、地場の名産品を食べたがっているから」

 ビジネス系のホテルでは施設内で夕食をとる宿泊客が少なくなっている。飲食店を選ぶ際、口コミサイトなどで調べるのが一般的になっても、地元の生の情報を求めてフロントに「どこかおいしい所がないか」と聞く宿泊客は多いという。

 ホテル側も効率的に説明できるし、協力し合えば、より多彩な店を紹介できる。マップは熊谷会長の呼び掛けで2009年に初めて作製。14日に開幕する山形デスティネーションキャンペーンに合わせて改訂版を1万5千部発行した。

 酒田市ホテル振興協議会が発行する飲食店マップ。ホテルの推薦を受けた飲食店が5千円ずつ負担し、市の助成金を加えて発行している。掲載店の4割は、地酒や生ビールを1杯サービスするなど特典を設けており、マップはクーポンの役割も果たす。

酒田市内の郷土料理店で出される旬の食材を使った品々。マップを見て来店し、常連になった客もいるという
酒田市内の郷土料理店で出される旬の食材を使った品々。マップを見て来店し、常連になった客もいるという
■新規客に効果大
 市内の郷土料理店「三代目兵六玉酒田店」。名物の豆腐や旬の食材を使った料理が自慢だ。地元の有名店だが、地域外の新規客に売り込むには、このマップの効果が大きい。定期的に出張で酒田を訪れるサラリーマンで、マップを見て来店、常連になった人もいる。山居倉庫内の和風料理店「芳香亭」も県外のシニア層を中心に、マップを持って来店する人が多いという。

 「ホテル内にレストランがあるのに紹介してもらえるのはありがたい。接客もしっかりし、満足して帰ってもらえるよう努力したい」。五十嵐雄二兵六玉酒田店長(53)は話した。

 ホテル側には、宿泊客の満足度を上げる以外に、どんなメリットがあるのか。協議会長の熊谷芳則ホテルリッチ&ガーデン酒田社長(56)は、マップの存在が宿泊客の増加に直結するとは思っていない。「観光は100の満足があっても1のマイナスがあれば、99の満足が残るのではなく『ゼロ』になる。酒田の印象を良くするには、宿泊施設、観光施設、飲食店の皆が努力しなければならない」。満足してもらえてこそ、リピーターの確保や口コミでの観光客増加につながると考えている。

 飲食店とホテルの連携は、山形市内でも行われている。山形グランドホテルやホテルメトロポリタン山形は、JRのびゅう商品として市内五つの飲食店で利用できる食事券付きプランを設けている。ホテルキャッスルは、厳選したそば店のランチ券を付けた宿泊プランを数年前から販売している。大正時代から続く老舗や郷土料理なども提供する4店舗と提携。コンスタントに売れるプランだといい、そば店にとっても観光・ビジネス客が足を運ぶための“入り口”になっている。

■宿泊する必然性
 人口が減少する中、住民1人が減った分の年間消費額を補うには、国内旅行者なら日帰りで81人、宿泊で26人が必要との試算がある。「地域にとって経済効果の高い宿泊客を増やすには『酒田に泊まるとこんな体験ができる、あそこに行ける』と泊まる必然性を知恵を絞ってつくり上げる必要がある。一体的な取り組みをしなければ誘客にはつながらない」。熊谷会長は力を込めた。
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