やまがた観光復興元年

第6部・アウトドアツーリズム[1] サイクリング

2014年07月22日
慈恩寺の前を通過するツール・ド・さくらんぼの参加者。自然、歴史、文化、食など西村山地方の魅力を堪能できるコースの評価は高い=6月29日、寒河江市
慈恩寺の前を通過するツール・ド・さくらんぼの参加者。自然、歴史、文化、食など西村山地方の魅力を堪能できるコースの評価は高い=6月29日、寒河江市
 サクランボ観光最盛期の6月29日、寒河江西村山1市4町を自転車で巡る「第2回ツール・ド・さくらんぼ」が開催された。途中で降り出した雨が強まりコースの半分ほど走行した時点で中止となったが、全国から参加した自転車愛好者は、時折顔をのぞかせる青空の下、変化に富んだコースのサイクリングを楽しみ、エイドステーション(休憩所)で地元の食を堪能した。

 初回の去年は大会直前まで500人の定員が埋まらなかったが、今年は700人に枠を増やしたにもかかわらず募集開始早々に定員を超え、キャンセル待ちは最終的に300人近くに達した。既に東北屈指のサイクリングイベントとして認知されたといえる。主催した寒河江青年会議所の大泉拓也理事長は「去年の参加者がブログやフェイスブックなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で大会の良さを広めてくれた」と話す。

 何がサイクリストを引きつけるのか。SNSの書き込みや参加者のアンケートには、サクランボや月山筍のみそ汁などエイドで提供される郷土色豊かな食べ物、山登りや峠越えなどを含む130キロの“歯応え”のあるコース、朝日連峰や月山など雄大な景観などへの高評価が並ぶ。大泉理事長は「自治体の枠を超えて、西村山地域に点在する魅力を生かした長いコースを設定できることが特長」と説明。加えて、地元の人の気遣いが参加者の心を捉えていると強調する。「家の前に出て応援してくれたり、沿道の農家がサクランボを配ってくれたりしたことを一番の印象に挙げる参加者が多い」。観光で重視される「もてなし」はスポーツイベントの成功にも欠かせない要素だ。

 豊かな自然を活用したスポーツやレジャーは、観光振興において高い潜在力を持つとされる。受け入れ体制を整えれば本県にとって十分に全国と闘える分野だ。山形新聞、山形放送の8大事業「やまがた観光復興元年」第6部は山形の魅力を生かしたアウトドアツーリズムの可能性を探る。

 5年計画で1500人規模にすることを目標にスタートしたツール・ド・さくらんぼ。初回の成功を踏まえて今年は、観光面への波及効果をより強く意識したという。前泊者を増やすため、前回は土曜だった開催日を日曜日に変更。エイドステーション(休憩所)には地域の観光情報を盛り込んだ案内板を設置した。

 「この大会には人を呼ぶ力がある。さらに観光振興につなげたい」と寒河江青年会議所の大泉拓也理事長。危機管理を含む運営力向上やボランティアの確保、協賛企業の拡充と課題は多いが、初心者やファミリー層も参加できるコース設定、ゴール後に楽しめる他のイベントとの連携など、理想の大会の大まかな輪郭は既に見えている。

ツール・ド・さくらんぼのエイドステーションではもちやそばなど山形らしい食べ物が振る舞われた=6月29日、西川町
ツール・ド・さくらんぼのエイドステーションではもちやそばなど山形らしい食べ物が振る舞われた=6月29日、西川町
 上山市で毎年秋に開催されるツール・ド・ラ・フランス。市民の健康増進などを主目的とする公民館事業として始まった。24回目の去年、内容を見直し観光イベントの色合いを強めた。市生涯学習課の担当者は「毎年、募集開始から2、3日で定員に達する人気の高さや、市外からの参加者が大半の状況から、上山の魅力を全国に売り込んでいけると考えた」。実行委員会には市と市教委に、市商工会、市観光物産協会、上山青年会議所も加わった。

 ■再訪意欲高める
 一般コース(30キロ)、ファミリーコース(20キロ)のほかに、もっと長い距離を走りたいとの要望に応えて55.5キロのコースを設定した。前日には市街地を巡り、歴史や文化に触れてもらう「まちなかサイクリング」を実施。商店街にチェックポイントを設け、集めたスタンプの数に応じ、前夜祭で行うビンゴゲームのカードをプレゼントした。本番のコースは市の郊外を回るため

、中心部の街並みも楽しんでもらう狙い。民俗行事「カセ鳥」を披露したところ、アンケートで「冬に来て出てみたい」との回答があるなど、再訪意欲を高める成果もあった。

 定員オーバーで参加できない人が多いことに着目し、前日か当日に市内に宿泊した参加者には翌年の「優先エントリー権」を与える仕組みも導入した。旅行会社と組んで関東方面から参加者を募る構想もあり、今後さらにスポーツと観光との融合を図る。

 ■ブームに頼らず
 大会創設から四半世紀、右肩上がりの参加希望者は、最近の自転車ブームが追い風になっている。だが、ブームであればいつかは終息し、観光面の波及効果も先細りになる。だからこそ「交通ルールを守った快適なサイクリングで健康増進を図るという当初の開催趣旨を大事にしたい」と担当者。自転車を身近なスポーツとして社会に根付かせる役割を担うこと。それが地域に恩恵をもたらすことにつながるとの考えだ。
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