やまがた観光復興元年

第6部・アウトドアツーリズム[2] マラソン

2014年07月23日
東北最大級の規模を誇る果樹王国ひがしねさくらんぼマラソン大会。観光マラソンとして、県外参加者を増やす工夫が重ねられている=6月8日、東根市・陸上自衛隊神町駐屯地
東北最大級の規模を誇る果樹王国ひがしねさくらんぼマラソン大会。観光マラソンとして、県外参加者を増やす工夫が重ねられている=6月8日、東根市・陸上自衛隊神町駐屯地
 特産のサクランボが色付き始める6月初旬、東根市は東北最大級の規模を誇る「果樹王国ひがしねさくらんぼマラソン大会」の参加者でにぎわう。13回目の今年は6月8日に開かれ、過去最多の1万2504人がエントリー。タイム重視ではなく、地元経済の活性化と交流拡大を目的とした観光マラソンにこだわり、市民挙げての盛大な歓迎でリピーターを増やし続ける。

 「おかえりなさい」「ただいま」。大会前日は毎年、歓迎セレモニーがJRさくらんぼ東根駅で行われ、出迎えの市民、到着したランナーとの間でこんなあいさつが交わされる。引き続き、さくらんぼ東根温泉にある市屋内多目的コートでゲストランナーのトークショー、物産販売などの歓迎レセプションを開催。大会は事実上、2日間にわたり、滞在型観光にも結び付いている。

 「サクランボ狩りの繁忙期の前に、大会を通して宿泊客が訪れるのは助かる」とさくらんぼ東根温泉にある花の湯ホテルの元木洋子取締役。JRと連携した大会公認宿泊パックが毎年企画され、申込者は昨年の991人に対し、今年は1084人。同温泉のみならず、天童、山形、仙台・作並の旅館、ホテルもパックの宿泊施設となっており、経済効果は県境を越えて広範囲に及ぶ。

山形市中心部で行われた山形まるごとマラソン。沿道では菓子や果物などの振る舞いでランナーをもてなした=2013年10月6日、山形市本町2丁目
山形市中心部で行われた山形まるごとマラソン。沿道では菓子や果物などの振る舞いでランナーをもてなした=2013年10月6日、山形市本町2丁目
 果樹王国ひがしねさくらんぼマラソン大会を主催する東根市は今年、県外参加者を増やすため、種目ごとの定員を設けた。人気があるハーフマラソンと10キロの長距離種目を、前回参加実績に比べて多く設定。この結果、県外参加者は前回比297人増の7651人となり、全体に占める割合は1.5ポイント増の61.2%となった。

 ■サクランボ魅力
 さらに、ハーフマラソンのコース沿いに特産エイドステーション(休憩所)を新設。氷の中に入ったサクランボ「佐藤錦」、地元産果物のジュースとゼリーなどを振る舞い、観光マラソンの魅力を高めた。このPRが奏功したのか、JAさくらんぼひがしねの産直施設「よってけポポラ」には大会当日の日曜日、2053人が来店。前の週の日曜日より346人多く、売上高は約3・3倍だった。後藤隼一店長は「ユニホーム姿の県外客が目立った。大会効果だ」と語る。

 ただ、大会参加者が必ずしも、さくらんぼ東根温泉を再度利用したり、観光果樹園に訪れたりするわけではない。通年観光になかなか結び付かない課題も見えている。市観光物産協会の今野征チームディレクターは「地元農家に民泊し、地域により愛着を持ってもらう取り組みも必要ではないか」と語る。

 山形市も昨年、初めて「山形まるごとマラソン」を開催し、3468人が県都中心部を駆け抜けた。第2回は10月5日に予定。ハーフマラソンは6月2日の受付開始の4日後に3千人の定員に達し、500人の5キロは3日後にいっぱいになるなど前回を上回るペースで申し込みが寄せられ、注目度は高い。

 ■県都の景観武器
 市スポーツ保健課の佐藤泉課長補佐は「城下町の歴史、都市機能が集約された街並み、自然豊かで最盛期の芋煮会の風景に触れることができるのは、他の開催地にない魅力」と、県都ならではのロケーションを差別化の最大の武器と考えている。

 前回は市中心部の商店などが自主的に果物、飲料水などをレース中に配り、参加者をもてなした。関心を集めたのが山形を代表する菓子「乃し梅」。老舗の佐藤屋が一口サイズにして配ったところ、レース後に買い求める人が相次いだ。同社の佐藤慎太郎常務は「首都圏の物産展に参加した際もまるごとマラソン参加者が購入に訪れ、客層を広げることができた」と手応えを語る。

 健康ブームの中、幅広い世代が多数参加できるイベントとして、全国的に乱立する市民マラソン大会。おもてなしの心を高め、個性をより強く打ち出すことが成功の鍵と言えそうだ。
やまがた観光復興元年 記事一覧
文字サイズ変更
  • 小
  • 中
  • 大

県内8市発行メールマガジン登録無料

ふるさとだより

毎週木、金曜日配信中!

ニュース特集

スポーツ

教育・子育て

おでかけ

暮らし情報

twitter発信中

山形新聞からお知らせ

  1. 【2019年8大事業】
     山形新聞、山形放送の2019年の8大事業が決まりました。詳しくは、こちらから
  2. 【やましん公式FB】
     山形新聞社は、インターネット交流サイト「フェイスブック(FB)」の公式ページを新設しました。
     公式ページでは山形新聞のニュースのほか、本社からのお知らせなどを中心に紹介します。
     アドレスは、こちらから
  3. 【やましんe聞で動画視聴】
     読者限定の電子版「やましんe聞」で動画を閲覧できる新サービスを始めました。詳しくは、こちらから。
  4. ◆中学、高校の各種スポーツ大会の記録を紹介。検索機能も備えています。アクセス方法はこちら
  5. ◆探したい記事がきっと見つかる、山形新聞記事データベース。他社DB横断検索が便利な日経テレコンジー・サーチファクティバ
  6. ◆県外でも今日の朝刊が朝一で読める「お届け電子版
  7. ◆ニュース速報、高校野球、モンテ情報… 身近な情報を携帯で確認「モバイルやましん
  8. ◆故郷の話題をメールでお届け、ふるさとメール会員募集(登録無料)
山形新聞から
販売から