やまがた観光復興元年

第6部・アウトドアツーリズム[4] オートキャンプ

2014年07月26日
月山山麓に整備された月山・弓張平オートキャンプ場。県内で唯一、「四つ星」の認定を受けている=西川町志津
月山山麓に整備された月山・弓張平オートキャンプ場。県内で唯一、「四つ星」の認定を受けている=西川町志津
 アウトドアツーリズムの代表格と言えるオートキャンプ。日本オートキャンプ協会(東京都)のまとめによると、2013年度の愛好者人口は4年ぶりに増加に転じ、750万人に達した。20代の若者や、「団塊ジュニア世代」に当たる30~40代のファミリー層を中心に、多くの新規参入があったためで、ブーム再燃の兆しをみせている。

 月山山麓の標高634メートルの高原に整備された西川町の月山・弓張平オートキャンプ場。電源付きオートサイトやログハウスのコテージなどを備えた県内最大級のキャンプ場で、星マークによる評価・認定制度で「四つ星」にランクされている。

 星マークは、日本オートキャンプ協会が▽初心者の施設選びの目安▽施設・管理のレベルアップ▽キャンプ場の社会的評価の向上―を目的に格付けしている。立地やサービス、快適性など30項目を5段階評価し、星の数(最高5)で認定。3月末現在、全国で49施設が認定を受けており、県内は月山・弓張平の1施設のみが受けている。

 「認定されることで雑誌などへの掲載機会が増え、インターネットで宿泊地を決めるキャンパーの目にも触れやすい」。キャンプ場の指定管理者となっている西川町総合開発の悪七桂一管理リーダー(59)はこう分析する。

 豪雪地にあるこのキャンプ場は開設期が6~10月と限られることもあり、年間利用者は4千人前後にとどまる。このうち県内の利用者は4割弱で、仙台圏を中心にした隣県からの利用が多い。月山という観光資源があり、植物園、パターゴルフ場なども近接しているが「あくまでキャンプ目的の家族連れが主体」と悪七リーダー。自然体験などの受け皿として十分な役割を果たせていないのが現状だ。

 テントサイトまで車の乗り入れ可能なオートキャンプ場は、アウトドアブームとなった1990年代前半から全国に整備され始めた。その多くは公設で、2000年ごろにブームが下火になると不採算施設は淘汰(とうた)され、今年4月現在で1283施設となっている。

 日本オートキャンプ協会に登録された県内施設は計12。このうち協会発行の14年度版ガイドブックで主要施設として紹介されているのは半数にとどまる。豊かな自然に恵まれているのは全国どの施設も同じ。協会は「それ以外でどんな特色を出しているかが大事だ」と指摘する。

 ■「オンリーワン」
キャンピングカーのまま乗り入れできるフリーサイトが人気の吹上高原キャンプ場=宮城県大崎市鳴子温泉鬼首
キャンピングカーのまま乗り入れできるフリーサイトが人気の吹上高原キャンプ場=宮城県大崎市鳴子温泉鬼首
 オートキャンプ白書2014によると、キャンパーのおよそ半数は自宅から100キロ圏内の比較的近場を利用。その分、関東、関西圏以外の施設はキャンパーを呼び込むための特色づくりが求められている。

 ふくしま県民の森オートキャンプ場「フォレストパークあだたら」(福島県大玉村)は、1998年に県が整備した。現在は公益財団が指定管理する。トレーラーハウスやコテージ、キャンピングカー用設備を備えたキャラバンサイトなどがあり、管理施設には日帰り入浴が可能な温泉もある「五つ星」施設だ。13年度の利用者数は約4万4千人。それでも東日本大震災前の8割程度という。

 このキャンプ場の利用者の60~65%は県外客で、うち6割近くは北関東を含む首都圏。設備の整った施設は関東周辺にも多いが、キャンプ場事務局長の弦間一郎さん(58)は「森林に遊び、学び、暮らす、オンリーワンの野外施設を目指している」と、他施設との差別化戦略を明かす。

 全国各地で人気を集めるキャンプ場は、温泉はもちろん、ペット同伴が可能、隣接する菜園で野菜や果物が無料で収穫できるなど、それぞれ個性を放つ。釣り堀やツリーハウス、さまざまなアクティビティー(遊び)を備えた施設もある。そうした中でフォレストパークあだたらは「森林と人との共生」というテーマを前面に、林業体験や自然観察、蜂蜜収穫などさまざまな体験プログラムを開催している。

 キャンプ場内で今秋開催される全日本オートキャンプ大会を機に、同じ福島県内の施設と共同企画や宣伝などで連携を強めるプランも。相手はペットと一緒にキャンプができるリゾートとして人気がある羽鳥湖高原レジーナの森(天栄村)。弦間さんは「違う性格のキャンプ場が連携することで新たな魅力が創出され、キャンパーの利便性も高まる」と語る。

 ■隣県との連携も
 宮城県内にも注目の施設がある。大崎市の吹上高原キャンプ場(鳴子温泉鬼首)は、区画のない広々としたフリーサイトが魅力で、キャンピングカー利用者に絶大な支持を得ている。

 本県内のキャンプ場が、こうした隣県の人気施設と連携すれば、首都圏から愛好者を呼び込む新たな観光ルートが生まれるかもしれない。
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