やまがた観光復興元年

第6部・アウトドアツーリズム[6] モンベルとの連携[下]

2014年07月28日
地元ガイドの案内でスノートレッキングを楽しんだ韓国のアウトドアショップオーナーや登山家。雪のテーブルも自分たちで作った=昨年12月、西川町月山志津
地元ガイドの案内でスノートレッキングを楽しんだ韓国のアウトドアショップオーナーや登山家。雪のテーブルも自分たちで作った=昨年12月、西川町月山志津
 韓国の登山家やアウトドア用品ショップのオーナーら4人の姿が昨年12月、県内の雪山にあった。一行は山形市蔵王温泉でスキーを満喫。西川町の月山志津温泉ではブナ林に入るスノートレッキングを体験し、雪でつくったテーブルでホットワインを味わった。市街地に雪がほとんど積もらない韓国では雪景色自体が珍しい。雪に埋もれた車、雪帽子をかぶった自動販売機と、県民にとっては何げない風景に歓声を上げた。

 この招請事業は、アウトドア用品国内最大手・モンベル(大阪市)と県内観光関係者が連携して実施した。韓国のアウトドア市場は米国に次ぐ世界2位とされる。今も成長し続け、新たなフィールドを求めて海外に出る人が多いという。本県にとってもピーク時は年1万人超が来県するなど、観光振興を図る上で重要な国だ。

 その韓国に、モンベルは日本国内の約90店舗より多い約150店舗を展開する。そのネットワークを通じて本県のアウトドア資源を売り込むことができれば、PR効果は高い。

 招請ツアーで韓国の一行は、山形市内の山形まるごと館紅の蔵や、水の町屋七日町御殿堰なども訪問。和風小物や日本酒を気に入り、羽振りよく買い込む場面もあった。

 参加したモンベルショップオーナーのキム・ヒョンフェさん(47)は「韓国にもスキー場はあるがほとんどが人工雪のゲレンデ。蔵王は雪質が素晴らしく、コースも豊富で楽しめた。スノートレッキングも韓国ではできない体験だ」とフィールドとしての本県を高く評価。「日本酒やそばなど郷土食もおいしかった。帰国したら、山形はアウトドアと観光が両方楽しめる場所だと伝えたい」と続けた。

本県から宮城県にまたがる蔵王連峰。グリーン期にもトレッキングを柱に韓国から誘客しようという取り組みが始まっている
本県から宮城県にまたがる蔵王連峰。グリーン期にもトレッキングを柱に韓国から誘客しようという取り組みが始まっている
 外国人旅行者が少ないグリーン期の蔵王に韓国から誘客しようという動きが活発化している。山形市蔵王温泉を中心に県内各地で旅館・ホテルを営むタカミヤホテルグループは、昨年12月に蔵王や西川町で行われた招請事業で、アウトドア用品大手・モンベルの韓国の店舗と本県とのつながりができたことをチャンスと捉えている。

■重ねて仕掛ける
 招請は、観光庁による日系企業のネットワークを活用した訪日旅行促進事業として実施された。韓国に拠点展開するモンベルが委託先となり、(1)ハングルでのガイドブック作成(2)店舗オーナー、メディア招請による情報発信―に取り組んだ。(1)では、本県の2カ所を含む日本のフレンドエリア20カ所の情報をまとめたハングル版会員特典ガイドを10万部発行。今年1月から韓国約150店舗の店頭に置かれている。

 この事業で情報発信したところに、重ねて誘客を仕掛ければ、単独で展開するよりも効果が期待できる。タカミヤグループは、十数年前から続けている韓国の市場開拓で構築した現地とのパイプを生かして販路を確保。蔵王と月山のトレッキングを柱にした3泊4日のツアーの販売にこぎ着けた。韓国のモンベル店舗の店長やマネジャーらとともに愛好者が山々を巡る特別なツアーだ。既に予約が入っており、8月から実際の受け入れが始まる。

 韓国にある旅行会社の窓口のほか、モンベルの主要店舗にもポスターを掲示したりパンフレットを配置したりし、売り込む。

■来て、見てもらう
 韓国から本県への旅行者は、ピークの2007年は台湾に次いで多い1万200人超で、多くが蔵王へのスキー客だった。しかし、その後のウォン安や反日感情の高まり、東日本大震災と原発事故の影響で12年には約2100人にまで減少。韓国には、本県入りするのに大半が利用する仙台空港の津波被害や原発事故のイメージが色濃く残り、客足の回復は鈍い。そのため「当面誘客を諦める」とする県内観光関係者は少なくない。

 しかし、タカミヤグループは今回の機を逃さないつもりだ。「県内のスキー場や景観は、一度は韓国の方々に評価いただいた資源。蔵王と韓国のスキー場同士の交流も続いており、戻ってきてくれるはずだ」。グループで今回の事業を担当する木村丹(あきら)常務営業本部長(38)は分析する。

 ネックになっている不安を払拭(ふっしょく)するには、来て、見てもらうのが一番だ。そのために韓国モンベルの店長らを招待するモニターツアーも計画中だ。グリーンシーズンにこうして種をまいておけば、主力となる冬季の誘客アップにつながると考えている。木村常務は強調した。「行ったけど大丈夫だったよ、山形はよかったよと店長たちに言ってもらえたら発信力は強い。一般会員もきっとついてくる」
=第6部おわり
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