やまがた観光復興元年

第7部・新しい旅のカタチ[4] ペットツーリズム(下)

2014年08月23日
今年3月下旬からペットと同室での宿泊を受け入れた「いこいの村庄内」。始めてすぐ予約が入り、反響の大きさを示した=鶴岡市
今年3月下旬からペットと同室での宿泊を受け入れた「いこいの村庄内」。始めてすぐ予約が入り、反響の大きさを示した=鶴岡市
 鶴岡市の「いこいの村庄内」(県観光物産協会運営)は3月下旬から犬との宿泊の受け入れを始めた。全35室(定員150人)のうち、別館の8室(同42人)で対応している。開始直後から予約が入り、4~6月の3カ月で宿泊客全体の8・5%に当たる約270人が犬と一緒に利用した。

 狙い通り、犬との宿泊客の8割が県外から。宮城、秋田などの隣県だけでなく、東京や埼玉、京都、広島からも訪れる。利用客全体の減少で空きが多かった別館の稼働率は向上した。

 宿泊者は、どのようにして施設を選んでいるのだろうか。7月の週末に訪れていた利用者に聞くと、多くが「犬と一緒に泊まれる所に絞って旅行サイトで調べ、予約した」と答えた。

 仙台市から家族4人と1匹で訪れた無職男性(60)は「よく犬連れで遠出する。6月は栃木県那須に行き、今回は秋田県湯沢からの帰りに泊まった。庄内はペットOKの宿が多くない印象。こうした施設が増えると助かる」。夫妻で予約した東京都の会社員男性(38)は「3月から犬を飼い始め、2度目の旅行。犬に日本海を見せたくて近くで探した」と話し、旅行頻度の高さがうかがえる。

 「今まで宿泊した中でここが一番広くてきれい。犬用ケージも大きく、来年も予約したい」。横浜市から夫妻で訪れた会社員男性(55)は部屋を気に入ったようだ。ペットと泊まれる施設が全国的に増える中、選ばれるには施設そのものの、そして地域としての魅力が重要になってくる。

高畠町で開催された「わんにゃん高畠ペット祭り」。県外からも多くのペット連れが詰め掛けた=6月22日
高畠町で開催された「わんにゃん高畠ペット祭り」。県外からも多くのペット連れが詰め掛けた=6月22日
 全国からペット連れを呼び込めるイベントが県内にある。昨年10月と今年6月に高畠町で開催された「わんにゃん高畠ペット祭り」だ。犬、猫を祭る全国的に珍しい神社「犬の宮」「猫の宮」がある同町の特色を生かし、地元の昭和縁結び通り振興会が企画した。6月の回はペットの健康祈願祭や曲芸を披露するワンワンショー、愛犬とのパレード、一緒に旅するキャンピングカーの展示と、多彩な催しを用意。県内外から1500~2千人が訪れ、商店街は人であふれた。

 ■ターゲット絞る
 振興会は、キャンピングカー所有者の4割がペットを飼っているというデータに着目。商店街の中にキャンピングカー対応で電源も備えた駐車スペースを設けるなど、オートキャンパーとペット連れをターゲットにした誘客策を仕掛ける。

 振興会の高橋正人会長(62)はさらに、ペットの健康祈願祭と、芋煮会など季節ごとの楽しみを組み合わせた催しの定期開催を考えている。商店街にペット用の雑貨や犬、猫の置物などデザイナーの作品を集め、買い物目的のペット連れを呼べる地域にしたいとする。「歴史ある犬、猫の神社があるのはおそらく全国で高畠だけ。ホテルや旅館とも連携していけたら、より発信力が高まる」と構想を描く。

 「県内他地域と庄内を結ぶことが必要」。鶴岡市のいこいの村庄内の高橋司総支配人(64)は、宿泊客を増やすための課題を挙げた。例えば、犬と宿泊できる施設が多い蔵王温泉との連携。夏なら、山岳資源が豊富で涼しい蔵王と、海水浴ができる庄内を組み合わせれば異なる魅力が強みになる。犬連れの大半が車で移動している点に着目すれば、蔵王から月山を越えて庄内に入るルートは新緑や紅葉が美しく、ドライブコースとしてもPRできる。「両地域を回ってもらえたら滞在期間が延び、観光振興につながる」と力を込めた。

 ■事業進める秋田
 秋田県では、県が音頭を取り、11、12年度にペットツーリズム受け入れ施設のネットワーク化と情報発信力の強化事業を実施。国の雇用創出基金を活用し、2カ年で総額約990万円の予算を確保した。受け入れ施設が参加する会合を開き、県単位の協議会設立を後押ししたほか、ウェブサイト、マップを作成。サイト「わんダフル秋田」では宿泊、飲食、遊び場のジャンル別に計約50施設を紹介している。マップは2万部を県内主要観光施設で配布した。

 市場の大きい首都圏から距離のある東北にペット連れを呼ぶには、1カ所だけの魅力では難しいという。「県内、東北を周遊できるよう地域で連携し、情報を提示できれば、旅行先に選ばれる可能性が高まる」。多くの関係者が口をそろえる。
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