やまがた観光復興元年

第8部・DC検証[3] 2次交通

2014年09月19日
酒田市中心部の観光名所を巡るDCライナー。関係者の予想より利用が伸びなかった
酒田市中心部の観光名所を巡るDCライナー。関係者の予想より利用が伸びなかった
 神奈川県から訪れた男性(57)がJR酒田駅前から乗り込んだのは、1日乗り放題で300円のジャンボタクシーだった。山形デスティネーションキャンペーン(DC)に合わせ、6月14日~9月15日の毎日、駅発着で運行された「DCライナー」だ。山居倉庫や海鮮市場、相馬樓といった名所、施設で乗降でき、1日7便が走った。男性は「周遊に便利だ」と話し、次の目的地に向かった。

 運行したのは市や酒田商工会議所などで組織するDCの酒田推進協議会。利用者の反応は良かったものの、8月末までの延べ乗車人数は905人にとどまった。1日当たり11.5人で、乗客がゼロの日も。乗り場の分かりづらさや列車とのアクセスの悪さを指摘する声もあった。

 駅から目的地に向かう2次交通の不便さが指摘されてきた本県。DCでは各地で対策が講じられたが「便利で得な企画なのに利用が振るわなかった」(観光関係者)例は少なくない。

 米沢市では、以前から市街地で運行されてきた循環バスの乗客が急増した一方、新規事業の利用はいまひとつだった。米沢上杉文化施設協議会は、駅や文化施設と小野川、白布を含めた郊外の温泉地を結ぶ路線バスを1日乗り放題にした「乗るパス」(千円)を発行。6~8月の販売数は約270枚と伸びなかった。米沢地区ハイヤー協議会は市内温泉旅館に向かう宿泊客と、タクシーを貸し切って観光する乗客の運賃を千円割り引くサービスを実施。先着で500台分を用意したが、183台分が残った。

 DCライナー、乗るパス、タクシー割り引きとも初の取り組みで観光客に情報を届け切れなかったという共通点があった。山形DCをPRするパンフレット、チラシは全国で配布されたが、事業決定が直前だったために掲載媒体が限られた事業も。駅に降りて、タクシーに乗って初めて存在を知った客が多かったという。関係者が漏らした。「周遊しやすいと分かれば来訪者自体が増えたかもしれない」

レンタカーの貸し出し窓口には、県内の観光パンフレットやチラシが置かれ、情報発信基地の役割も果たした=山形市・トヨタレンタリース山形山形店
レンタカーの貸し出し窓口には、県内の観光パンフレットやチラシが置かれ、情報発信基地の役割も果たした=山形市・トヨタレンタリース山形山形店
 既存の2次交通を拡充し、利用が伸びたケースがあった。天童市内と山形市山寺の駅や美術館、果樹園を周遊する「観光駅馬車」。天童温泉協同組合が2002年から走らせる無料のワゴン車だ。土日祝日だった運行日を、山形デスティネーションキャンペーン(DC)に合わせ、6月14日~9月末の毎日に拡大。6~8月の利用者は昨年より2割増えた。

路線延長を周知
 鶴岡市中心部の名所を巡る「鶴岡観光ぐるっとバス」。07年度から市観光連盟が運行する。加茂水族館がリニューアルオープンした6月1日から、同水族館や湯野浜温泉まで路線を延長(10月13日まで)。金土日曜と祝日だった運行日も7月18日~8月末は毎日とするなど大幅に増やした。料金は延長した路線を含めて2日間乗り放題のプランが千円。同水族館の爆発的な人気が背景にあり単純比較はできないが、今年6~8月の延べ乗車人数は昨年同期の6.5倍。昨年と同じ中心部だけの延べ人数でも2.8倍となった。

 路線延長は4月から市内で周知してきたほか、DCなどの多様な観光パンフレットに掲載した。「存在が知られていた交通手段を使い勝手がいいようにアレンジした。これが利用が増えた要因の一つでは」と担当者は分析する。

 レンタカーは道が分からない観光客にとって運転の負担があるためPRしにくい2次交通手段だった。しかし、カーナビの普及で負担感は軽減。個人化が進む旅行形態にマッチした移動手段として注目が高まる。しかも利用するのは、個人客とは限らない。関西から来県した200人超の団体が、旅館から小グループに分かれ、レンタカー数十台で観光に向かった例もあるという。

 県は山形DCに合わせ、事業者が県外者向けの貸し出しを大幅に割り引いた場合、助成する事業を初めて実施。主要駅からの交通手段をまとめたガイドブック(30万部発行)に、各駅周辺のレンタカー事業者の電話番号を盛り込んだ。その結果、多くの業者が24時間以上の利用で千円割引などの特別プランを用意した。

 DC中のレンタカーの利用は全般に好調だった。県内最大規模のトヨタレンタリース山形(山形市)は今年6~8月の貸出件数が前年同期より26%伸びた。県の助成制度を活用した特別プランだけでなく、県内17の道の駅のうち12カ所で買い物の5%割引などが受けられるキャンペーンも独自に実施。「県内の移動はやはり車が便利だと認識してもらえた」と高橋佑樹レンタル部課長(37)はうなずいた。

観光パンフ設置
 県はさらに、車の貸し出し窓口への観光パンフレット設置を依頼。情報発信基地の役割を担ってもらう新しい連携も実現した。「観光客の幅広いニーズに応えられるよう多様な2次交通手段を用意することが重要とあらためて確認した」。県山形DCおもてなし推進室の西堀公司室長補佐(49)は言った。
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