やまがた観光復興元年

第10部・全国とどう戦うか[8] 意見交換(上)

2014年12月27日
内藤文徳氏
内藤文徳氏
 本県が全国と戦うために何が必要か。強みをどう生かし、弱点をどう克服すべきか。観光立県実現に向け、1月から展開してきた山形新聞、山形放送の8大事業「やまがた観光復興元年」は締めくくりとして県内の観光、農業の代表者らに意見交換してもらった。

 本県の高速交通網について、全旅連の佐藤会長は「山形市から車で1時間少しの所に仙台空港がある。県内2空港と合わせ3空港を活用できる点は強み。さらに山形新幹線は毎日東京方面から片道16本が定期運行され、約7千人の輸送能力があり首都圏との太いパイプになっている」とした。その上で、「その先の交通手段が整っておらず、高速交通網を集客に結び付け切れていない」と指摘。交通手段と宿泊先だけが同じで、観光場所や過ごし方をそれぞれ楽しむ個人募集型の旅行が国内で増えていることに触れ「こうした客を取り込むためにも2次、3次交通の整備は不可欠」と話した。

 2次、3次交通の問題は農村部ほど深刻だ。飯豊町観光協会の二瓶さんは「行政が補助し、観光客向けに空港や駅から乗り合いデマンドタクシーを運行してはどうか」と提案。「どんなに地域の魅力を宣伝しても、足が不便だと来てもらいにくい。デマンドタクシーは住民向けに多くの自治体で運行している。観光客に拡大できるはずだ」と強調した。

 東北公益大の中原特任講師は「福祉バスと民間バスなど従来あり得なかった連携を考えてはどうか。思いがけない分野、企業同士の連携は多様な課題解決の鍵になる」と述べた。

佐藤信幸氏
佐藤信幸氏
 案内所機能拡充の必要性も浮かび上がった。中原特任講師は、案内所で得られる観光情報が所在地域内のものに限られがちな現状を紹介。「今いる場所から先に行くための情報を届けることが必要。周辺地域だけでなく、庄内で内陸の、内陸で庄内の情報をそれぞれ発信すれば、県全体の観光客周遊につながる」とした。

 案内所の設置場所として「旅館のカウンターに置くのが簡単で旅行者に便利」と全旅連の山口青年部長。「旅行者が来県してから申し込む着地型の旅行商品の造成、活用がうまくいっていない。総合窓口となるプラットホームを地域に整備し、旅館のカウンターでも販売できるようにすれば状況は変わる」と続けた。

 置賜地域と上山市で展開するやまがた花回廊キャンペーンの内藤実行委員長は、2017年度に東北中央自動車道の山形―福島県境間が開通するのを見据え「首都圏側からの玄関口として置賜の役割が増す。本県全体の観光案内ができるよう、しっかりとした機能を整備しなければならない」と力を込めた。

 村木沢あじさい営農組合の開沼組合長は前面に出しすべき素材としてサクランボと啓翁桜を挙げ、「一緒にPRしてはどうか。いずれも日本一の産地で、桜でつながる」と話した。

開沼雅義氏
開沼雅義氏
 中原特任講師がもう一つ注文を付けた。「昼の営業が午後2時までだったり、主要観光地の土産物店が同5時で締まったり。これではお金を使いたくても使う場所がない。観光客の存在を地域の売り上げにつなげる仕組みが必要ではないか」

【観光意見交換出席者】(順不同)
▽やまがた花回廊キャンペーン実行委員会委員長
 内藤文徳氏
▽全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)会長
 佐藤信幸氏
▽同青年部長
 山口敦史氏
▽村木沢あじさい営農組合組合長
 開沼雅義氏
▽東北公益文科大特任講師
 中原浩子氏
▽飯豊町観光協会職員
 二瓶裕基氏
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