山形再興

第4部・地域おこし協力隊の思い (3)遊佐・藤川かん奈さん

2018年04月25日
 遊佐町のショッピングセンターの一角にある「みんなdeストア」。希望者が“日替わり店長”となり、カフェや食堂、工芸品を売る店などを開く。

 運営しているのは京都市出身の地域おこし協力隊員藤川かん奈さん(25)だ。自身も多彩なスパイスを使ったカレーが自慢のカフェを出店する。スタートは昨年10月。起業したい人などが、やりたいことにチャレンジできる場所として食堂だった空きスペースを借りた。

 これまでに利用したのは約30団体・個人。最初は思うように埋まらず藤川さんが自分の店を週4、5回出していたが、今は週1回になった。出店者は町内のほか酒田、鶴岡、秋田県にも広がっている。定期的に出してくれる人が増えた。

 月末には手作り雑貨の販売やカフェなどを組み合わせたイベントを開いているが、先月は出店が多く店内の別のスペースも使った。「いろんなイベントを考えて認知度を高め、出店者をもっと増やしたい」と藤川さんは目を輝かせる。

「みんなdeストア」を運営し、自身もカフェを出店している藤川かん奈さん(右から2人目)=遊佐町
「みんなdeストア」を運営し、自身もカフェを出店している藤川かん奈さん(右から2人目)=遊佐町
 遊佐町の地域おこし協力隊員、藤川かん奈さんが運営する「みんなdeストア」の出店者は3パターンに分かれるという。

 まず、起業するための準備。本格的に始める前のステップになると好評だ。中山町出身の協力隊員の女性と母親は、農家レストランの開店を目指してここに食堂を開いている。

 次に商売の拡大。キッチンカーで唐揚げを販売している人が、天気に左右されない場所として活用する例も。さらに共通の趣味といった人脈づくりを目的にしている人もいる。

 ストアの広さは客席と厨房(ちゅうぼう)合わせて64平方メートル。1日5500円、半日なら4千円で店を出せる。繰り返し利用すると割引され、複数の事業者が同じ日に入って「割り勘」にすれば数百円の負担で済む場合もある。

 藤川さんは協力隊員になって遊佐の人たちにやりたいことを話してもらう機会を設けた。場所がなく、できないでいることをもどかしく思い「日替わり店長の店」を試みたという。

 食品衛生責任者の資格を藤川さんが持っており、出店者は調理師免許がなくても飲食店を出せる。「起業に限らず生涯楽しく暮らしていくのに役立ててもらいたい」と藤川さんは話す。気軽に店長を経験することが定住や町の活性化につながればと期待している。

 藤川さんが地域に目を向けたきっかけは学生時代に重ねた海外旅行での体験だった。東南アジアのある村では、誰かが病気になるとみんなに伝わり、助け合っていた。「暮らしていた京都での近所付き合いの希薄さに気付き、さめた地域のつながりを変えたいと思った」と振り返る。

 京都で地域の人たちが先生になり、互いに教え合う「笑(しょう)学校」を開設。その活動をテーマに東北公益文科大で2015年に講演し、翌年、遊佐町へ協力隊員として移住した。

 「遊佐ではみんなが応援してくれてありがたい」と藤川さん。ストアを開くために改装する予算は7万円しかなかったが、多くのボランティアが手伝ってくれてカウンターなども作り直したという。

 関西や関東から知人が町を訪れると決まってリピーターになる。人との温かいつながりや自然の大きさを実感し、「遊佐のことを知ってほしい」という思いは強い。ウクレレを弾き、町のCMソングも作詞作曲した。協力隊の任期は本年度までだが、その後も町に住もうと考えている。
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