山形再興

第4部・地域おこし協力隊の思い (5)上山・福沢正博さん

2018年04月27日
かみのやま温泉観光案内所で業務に当たる福沢正博さん。前職の経験を踏まえ、観光振興へさまざまなアイデアを口にする=上山市
かみのやま温泉観光案内所で業務に当たる福沢正博さん。前職の経験を踏まえ、観光振興へさまざまなアイデアを口にする=上山市
 旅行業、雑誌編集、音楽関連イベントの企画運営…。上山市は現在、さまざまな経歴を持つ計5人の地域おこし隊員を採用している。年代も20代から50代までと幅広く、それぞれが経験を生かし、観光振興や移住希望者の支援などに従事している。

 特に市が求めているのは「外からの目線」。自らのまちが持っている魅力を、住んでいる人たちは意外と気付きにくい。当たり前のことだと捉え、発信できていない部分もあるかもしれない。地域課題を解決し、新たな活力を生み出すためには、外部人材の存在が不可欠だ。市市政戦略課は「年齢ではなく、コミュニケーション力などの『人』で採用している。市民と一緒に企画をし、面白いことを広げて地域をおこしていきたい」と協力隊に期待する。

 本年度着任した福沢正博さん(58)=長野県駒ケ根市出身=は、30年以上身を置いた外資系IT業界を離れ、“新天地”に上山市を選んだ。海外の小学校で日本語を教えた経験もある福沢さん。全く接点のなかった本県で新たなスタートを切った。市観光課に配属され、インバウンド(海外からの旅行)を含めた観光誘客に力を注いでいる。

 神奈川県川崎市に日本法人本社を置く外資系IT企業に今年3月まで勤めていた福沢正博さんは、営業職として国内各地を回っていた。「60歳前には今の仕事を辞めたい」。都市部を離れ、地方に関わる仕事をしたいとの思いを抱くようになっていた。新たに歩む道を模索し、国際協力機構(JICA)のシニア海外ボランティアにも登録した。

 偶然だった。ボランティア関連の資料を見ているうちに、上山市の地域おこし協力隊の募集情報が目に留まった。仕事で全国を飛び回っていても、本県に足を運んだことはなかった。知り合いもいない土地。だが、上山市は生まれ育った長野県駒ケ根市とまちの規模が似ている。家族や友人は上山市に行くことを勧めてくれた。山形新幹線を使うと片道3時間ほどで本県と首都圏を行き来できる。「3時間なら東京から大阪に行くような感覚。近いですよ」。家族が暮らす東京を離れ、単身での移住を決めた。

 福沢さんは現在、上山市のJRかみのやま温泉駅前に整備され、25日にグランドオープンした「かみのやま温泉観光案内所」に常駐している。以前、休職してオーストラリアに滞在し、ボランティアで現地の小学校で半年間、日本語を教えたことがある。英語は不自由なく使えるレベルで、国内外の観光客に対応し、満足度の高い旅の提供に努めている。

 とはいえ上山市での生活は始まったばかり。こなす仕事はこれまでと180度異なる。「観光に行くことはあっても、発信する側に立つのは初めて」と難しさを口にするが、積み重ねてきた経験が生きる部分があると感じている。上山市は、こんにゃく料理や山菜の天ぷらなど、他県では味わえない食の魅力にあふれていることが分かった。それに温泉もある。「外国人に必ず気に入られる」。そう思っている。

 「IT企業勤務時、上司は外国人だった。こういう人たちに情報を届け、例えばオフサイトミーティング(社外に場所を移し、特別な環境で行う会議)を上山で開くように提案してはどうだろう」。スキーをしに蔵王を訪れるオーストラリア人が多いことから、これら来訪者を上山市に呼び込む仕組み作りも重要だと考えている。

 市が地域おこし協力隊の受け入れを始めたのは2015年。隊員の任期は最長3年とあって、定住に結び付いた事例はまだない。今後は国の起業支援事業を活用するなどし、希望者のサポートを図る方針だ。多様な外部人材を定着させるステップアップへの挑戦が続く。

 福沢さんは自身と同様に“セカンドキャリア”を地方で―と考えている同世代は周囲に多いとする。「今はパソコン1台があればどこでも仕事ができる時代。働く場所は関係ないですよね」。地方にはさまざまな人を呼び込む大きな可能性があると捉えている。
山形再興-真の地方創生を目指して 記事一覧 →すべての記事(トップページ)
文字サイズ変更
  • 小
  • 中
  • 大

県内7市発行メールマガジン登録無料

ふるさとだより

毎週木、金曜日配信中!

ニュース特集

スポーツ

教育・子育て

おでかけ

暮らし情報

twitter発信中

山形新聞からお知らせ

  1. 【2018年8大事業】
     山形新聞、山形放送の2018年の8大事業が決まりました。詳しくは、こちらから
  2. 【やましん公式FB】
     山形新聞社は、インターネット交流サイト「フェイスブック(FB)」の公式ページを新設しました。
     公式ページでは山形新聞のニュースのほか、本社からのお知らせなどを中心に紹介します。
     アドレスは、こちらから
  3. 【やましんe聞で動画視聴】
     読者限定の電子版「やましんe聞」で動画を閲覧できる新サービスを始めました。詳しくは、こちらから。
  4. ◆中学、高校の各種スポーツ大会の記録を紹介。検索機能も備えています。アクセス方法はこちら
  5. ◆探したい記事がきっと見つかる、山形新聞記事データベース。他社DB横断検索が便利な日経テレコンジー・サーチファクティバ
  6. ◆県外でも今日の朝刊が朝一で読める「お届け電子版
  7. ◆ニュース速報、高校野球、モンテ情報、おくやみ… 身近な情報を携帯で確認「モバイルやましん
  8. ◆故郷の話題をメールでお届け、ふるさとメール会員募集(登録無料)
山形新聞から
販売から