山形再興

第6部・スーパー公務員の力 (2)山形市・後藤好邦さん

2018年06月26日
山形市の後藤好邦さん。本業の傍ら、自治体職員のスキルアップを目的にネットワークを構築した=山形市
山形市の後藤好邦さん。本業の傍ら、自治体職員のスキルアップを目的にネットワークを構築した=山形市
 今月16日、公務員を志望する高校生や大学生を対象にした就活サポートセミナーが山形市内で開かれた。アドバイスをしようと、“先輩公務員”たちが県外から駆け付けた。東京都足立区役所、秋田県由利本荘市役所、福島県棚倉町役場…。山形市企画調整課の後藤好邦さん(46)=同市平清水=が発起人の自治体職員ネットワーク「東北まちづくりオフサイトミーティング(OM)」をきっかけに生まれた仲間の輪だ。

 東北OMは2009年に結成された。外部講師を招くなど定期的に研修会を開き、個々のスキルアップにつなげるのが狙いだった。東日本大震災後は復興支援に携わり、ボランティアバスの運行をはじめ、被災地に人を呼び込むための方策なども議論。これらの取り組みは高く評価され、15年、早大マニフェスト研究所などによる「第10回マニフェスト大賞」で最高賞に輝いている。

 先の就活サポートセミナーは、東北OMの県内メンバーによる山形OMが主催した。「地域づくりとは何か。生徒、学生と話すことは公務員にとって初心を思い出すことにもなる」。セミナーを運営した後藤さんは強調した。

 山形市の後藤好邦さん(46)に「東北まちづくりオフサイトミーティング(OM)」を立ち上げる転機が訪れたのは、2005年、関西地方で開かれた自治体職員向けの勉強会に出席したことだった。市職員になったのは1994年。一定の経験を積み重ね、「そこそこ(仕事が)できる」と思うようになっていた時期だった。

 北海道から九州まで各地の職員が集まる勉強会。行政経営に関するワークショップなどを通じて接してみると、業務に対する考え方などは自分よりもレベルが高い人が多いと感じた。まだまだ学ぶべきことは多く、“外”を知ることが自らの仕事にも生きると実感した。

 定期的に開催されるこの勉強会に同僚や後輩と参加したいと思った。しかし、本業の傍ら勤務間外の研修に出るためには、関西への交通費、宿泊費の問題を解決しなければならない。もっと身近に、同じような場を東北にもつくることができれば―。そんな思いから09年、意気投合した岩手県北上市の職員と共に「東北OM」を結成した。

 活動は、まちづくりや地域活性化に資する人材育成に向け、外部講師を招いた講演会、構成メンバーの勤務先における事例報告や現場視察など。結成当初は約30人だった仲間は、今では千人ほどに増加した。民間企業の社員やNPOの職員もメンバーに名を連ねている。本県でもきめ細かく活動できればと、16年に山形OMを発足させた。

 後藤さんが重要だと捉えているのは、垣根を越えた知識の吸収、そして人脈づくりだ。自分の部署の担当業務に専念する行政職だからこそ、他分野に精通している人から得られる情報、刺激は財産になる。自身、山形市の循環コミュニティバスの運営業務の際、個人的なつながりからメディアを通じたPRを展開した“成功体験”がある。

 発足時と比較すると、現在は「想像以上」の幅広いネットワークが出来上がった。人口減少対策や観光客の誘致など山積する課題を乗り越えるには、「『OMのような取り組みが重要』と考える自治体職員が増えているからではないか」と受け止めている。多種多様な人たちが集う場がつくれるようになっただけに、そこから何らかの成果を生み出す必要性も強調する。「研修会に参加し知識をインプットするだけでは駄目。得たものを仕事に生かして初めて意味がある」

 東北OMの活動開始から約10年。ステップアップを遂げてきた取り組みは注目を集めており、後藤さんは「プレッシャーがある」と話しながら、「自分たちはあと10年で部長などになる世代。ネットワークと、それを広げた経験が、この先、もっと仕事に役立つはずだ」と信じている。
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