県内ニュース

知事「山形の価値高め続ける」 予算案内示後に会見

2018年02月16日 10:13
2018年度予算案の概要を説明する吉村美栄子知事=県庁
2018年度予算案の概要を説明する吉村美栄子知事=県庁
 吉村美栄子知事は15日、2018年度予算案を県議会に内示後、臨時記者会見に臨んだ。知事就任から10年目を迎える18年度予算案は「やまがた創生の展開強化」の予算と位置付け、全産業で変化に対応したイノベーションを取り込み、「山形の価値を高めることに力点を置いた」と述べた。

 県の将来ビジョン「自然と文明が調和した新理想郷山形」に「新」を付けた意味を吉村知事は「チャレンジし、価値を高め続けなければならない、との思いが込められている」と解説。有機ELやバイオ関連産業などの先端分野を中心に、将来の本県経済を担う産業集積化が重要だと説いた。

 本県人口が毎年1万人前後減少する中、人手不足と社会減対策が喫緊の課題との認識を示した。情報通信技術(ICT)を活用した各産業界での省力化と生産性向上、人口流出を抑制するための若者の定着・回帰、県外からの移住を積極的に促す予算措置を講じたとし「精神的にも、地方に住むことの幸福感を醸成したい」と話した。

 やまがた創生を実現する上で社会基盤整備は不可欠になる。特に、本県は高速道路整備やフル規格新幹線の早期実現、空港と港湾の機能充実化が求められている。吉村知事は高速交通ネットワークの整備によって通勤・通学圏が県境を越えて拡大し、交流人口が拡大するメリットを挙げ、国などへの働き掛けを強める考えを強調した。

 政府の取り組みを通じても東京一極集中に歯止めは掛かっていない。吉村知事は県と市町村、隣県などとの「連携」による課題解決の視点が求められていると説明。観光、高速交通網、災害時の救援・復旧はとりわけ連携が必要とし「インバウンド(海外からの旅行)では東北各県連携でPRやツアー企画に取り組みたい。大学を活用することも重要だ」と述べた。

イノシシ対策取り組み支援―市町村協議会向け
 農地やゴルフ場でイノシシによる被害が相次いでいることを受け、県は対策を検討する地域の取り組みを新たに支援する。市町村ごとに立ち上げた協議会が研修会への講師招請や先進地視察などを行う場合、検討費として上限30万円(最大2分の1)を補助する。

 県によると、一時絶滅したとされていたイノシシは現在、県内全域に生息域を拡大しているとみられる。県内の生息数は2015年度末時点で1900頭と推計され、16年度の農作物被害は2633万円に上る。ゴルフ場でコースの芝生が掘り返されるなどの被害も近年拡大している。

 新規メニューでは、自治体に加え、被害を受けている農家や施設関係者、猟友会、地域住民などで協議会を構成してもらう。18年度は3地域程度をモデル地域とすることを想定。イノシシ対策などを盛り込んだ鳥獣管理推進事業として1176万円を計上した。

中国・黒竜江省相互訪問を計画―新たに海外交流事業
 県の2018年度予算案では、本県と縁の深い海外との交流推進事業(約1800万円)が新規計上された。本県から訪問団を派遣するなどし、1993年に友好県省盟約を結んだ中国・黒竜江省、ブラジルと米ハワイ州で活動する県人会との交流を繰り広げる。

 今年はそれぞれ節目の年を迎える。黒竜江省とは盟約締結25周年で、相互訪問を計画。ブラジルは県人会設立65周年、日系移民110年に当たり、県人会が10月に記念事業を予定している。ハワイも県人会設立50年、日系移民150年で、訪問団派遣などの交流事業を検討している。

基金112億円取り崩し―財政中期展望、数年は財源不足
 厳しい財政事情を反映し、2018年度予算案は調整基金112億6200万円を取り崩して編成した。17年度当初と比べ、10億円ほど取り崩し額を抑制したが、18年度末の残高見込み額は17年度末見込みより1億5千万円減の114億200万円。一定の経済成長が見込まれたとしても、社会保障関係経費の増加や高水準で推移する公債費などを要因に、今後数年間は多額の財源不足が生じると推測している。

 内閣府試算の名目GDP(国内総生産)成長率を基にした県財政の中期展望(18~22年度)によると、19~22年度は155億~204億円の財源不足が発生。19年度予算編成段階で調整基金は底を突き、22年度には585億円の財政赤字が生じるとしている。

 財源不足への対応として、県行財政改革推進プランなどをベースに歳入、歳出の両面から対応策を講じ、基金取り崩しの抑制に努める。歳入面では、県有財産の売却や有効活用で毎年度に3億円を生み出すほか、基金や特別会計の利用見込みのない資金活用で8億~57億円を創出。60億~70億円台の県債発行で財源を確保する。

 歳出面では、事務事業の見直しや行政経費の効率化などを徹底し、単年度で30億円を抑制。19年度から4年間の累計削減額を120億円と算定し、18年度末見込みの調整基金残高を維持する考えだ。

 県債残高は13年度の1兆1907億円をピークに漸減傾向で推移しており、社会資本整備や産業振興に留意し、後年度に交付税措置のある臨時財政対策債と補正予算債を除く、実質的な県債残高(18年度末見込み額6690億6千万円)を減少させるとしている。

新聞活用事業を継続―郷土愛育む教育を支援
 郷土愛を育む活動推進事業として、県教育委員会は、市町村による新聞を活用した学習活動の支援を継続する。購入に必要な経費の半額を補助する全国に先駆けた試みとして2017年度から開始し、児童生徒の地域社会への関心の高まり、読解力の向上などの成果がみられた。18年度は1462万円を計上。活動の輪を広げて古里に対する誇りと愛着を育み、若い世代の地元定着につなげる。

 市町村はそれぞれの意向で県補助を活用し、小中学校で事業展開する。17年度は計32市町村の小学校117校(309学級)、中学校68校(526学級)で実施され、約900万円を交付。18年度は900学級程度での導入を見込んでいる。

 各校では複数紙の読み比べ、記事を題材にした意見交換など多様な活動が繰り広げられている。学校内にとどまらず家庭学習で新聞を活用する事例もある。中学校では、教師が指定したコラムを読んで感想などを書き、それに対し保護者からコメントをもらう取り組みが行われた。これら学びを通じて郷土愛の醸成や読解力のさらなる向上を図るため、県教委は優良事例の周知や普及に努める考えを示している。

 高校に関しては、引き続き鶴岡工業をモデル校に指定する。注目記事を選んで紹介するなどの学習を通じ、生徒の古里への関心、学力の高まりがみられている。学習を発展させ、本県で働き、暮らすことの魅力を伝える。

 山形新聞社は、郷土愛醸成による地方創生の推進を目的に、学校現場における「1学級1新聞」を提唱している。

関連記事

by weblio


おすすめニュース

文字サイズ変更
  • 小
  • 中
  • 大

県内7市発行メールマガジン登録無料

ふるさとだより

毎週木、金曜日配信中!

ニュース特集

スポーツ

教育・子育て

おでかけ

暮らし情報

twitter発信中

山形新聞からお知らせ

  1. 【2018年8大事業】
     山形新聞、山形放送の2018年の8大事業が決まりました。詳しくは、こちらから
  2. 【やましん公式FB】
     山形新聞社は、インターネット交流サイト「フェイスブック(FB)」の公式ページを新設しました。
     公式ページでは山形新聞のニュースのほか、本社からのお知らせなどを中心に紹介します。
     アドレスは、こちらから
  3. 【やましんe聞で動画視聴】
     読者限定の電子版「やましんe聞」で動画を閲覧できる新サービスを始めました。詳しくは、こちらから。
  4. ◆中学、高校の各種スポーツ大会の記録を紹介。検索機能も備えています。アクセス方法はこちら
  5. ◆探したい記事がきっと見つかる、山形新聞記事データベース。他社DB横断検索が便利な日経テレコンジー・サーチファクティバ
  6. ◆県外でも今日の朝刊が朝一で読める「お届け電子版
  7. ◆ニュース速報、高校野球、モンテ情報、おくやみ… 身近な情報を携帯で確認「モバイルやましん
  8. ◆故郷の話題をメールでお届け、ふるさとメール会員募集(登録無料)
山形新聞から
販売から