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山中に2日間、支えは「生きて帰る」 川西の86歳男性、4年ぶりのキノコ採りで遭難

2018年11月03日 11:50
愛用の電動車いすに手を掛ける男性。歩行にはつえを使用しているが、キノコ採りはやめられなかった=川西町
 自宅近くの山にキノコ採りに入った川西町内の86歳になる男性が先月、行方が分からなくなり、2日後に救助された。寒さが増す中、山中で二晩をどう過ごしたのか、男性に当時の様子を聞いた。無事だったのは十分な水分補給、体力の温存、そして「生きて帰りたい」という強い思いがあったからだった。

 男性は地元出身で、若い頃はシーズンになると3日に1度はキノコ採りに出掛けた。キノコがあるポイントは父から伝えられ、誰にも教えなかった。だから山に入るのはいつも1人。近所の人に配って喜ばれるのがうれしかった。

 先月9日午前10時ごろに自宅を出発し、電動車いすで15分ほどの場所から山に入った。お目当ては、香りが良くめったに採れないシシタケ。歩行にはつえを使うが、慣れた山中なので簡単に見つかった。だが、帰ろうとしたところ、深いやぶで暗くなっていたこともあり、方角を見失った。

 実は男性がキノコ採りをするのは4年ぶりだった。前回はハチに刺され、一晩を山中で動かずに過ごした。家族が届け出て警察や消防などで捜索し、翌朝自力で下山したところを救助された。以来山に入るのはやめていた。しかし、またキノコを採りたいという思いが募った。今回は「すぐに帰る」つもりで食料などを持たずに出掛けた。

 だが、4年間で山の様子は大きく変わっていた。山仕事をする人が少なくなったこともあり、やぶが思った以上に深く、道に迷った。「これで終わりだな」と思った。しかし、「とにかく水を飲まないと」と沢を探して飲んだ。ほとんど眠れなかったが、2日目までは沢の近くでじっとして過ごした。支えは「無事に帰りたい」という強い思いだった。2日目の夜は救助の明かりも見えた。3日目に沢沿いに下って道路まで出たところを発見された。

 男性は1人暮らしで誰にも告げずに山に行ったため、遭難が周囲に分かるまで時間がかかった。今回は、2日目の10日がたまたま週1回の訪問看護の来訪日だったため、離れて暮らす家族に不在が伝わった。男性は「もうキノコ採りには行かない。心配してくれた人には申し訳ない」とし、実感を込めて話した。「山には2人か3人以上で行ったほうがいい」

遭難6件、1人死亡―県内10月末
 県警地域課によると、今季は10月末までに県内でキノコ採りによる遭難は6件7人となっている。このうち飯豊町の山に入った80代の男性1人が死亡した。男性は娘夫婦とキノコ採りに訪れ、2人と別れて合流場所に向かう途中、行方が分からなくなった。

 昨年同期に死者は出ておらず、件数は3件、遭難者数では3人それぞれ多くなっている。高齢者の遭難が多く、県警は慣れた山でも迷うことがあるため、注意するよう呼び掛けている。

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