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老舗「羽前屋」もうすぐ幕 山形・創業103年のそば店、31日閉店

2019年03月22日 08:00
手打ちにこだわり、変わらぬ味を守ってきた3代目店主の辻春男さん
 山形市中心部で100年以上続く老舗そば店「羽前屋」が間もなく、のれんを下ろす。3代目店主の辻春男さん(69)は、競合店の増加や増税などにも負けず変わらぬ味を守り続けてきたが、年を重ね来月70歳になるのを前に、店をたたむ決意をした。現店舗での営業は平成元年から。一つの時代の終わりとともに、常連客に惜しまれつつ今月31日、103年の歴史に幕を閉じる。

 羽前屋の歴史が始まったのは1916(大正5)年、今の文翔館が県庁として落成した年。現在の山形市役所西側に祖父の辻七五郎さんが店を構えた。後に何度か場所を移し、父の2代目春三郎さんから辻さんが引き継いだ89(平成元)年からは、旅篭町1丁目の現店舗で営んでいる。

 進学のため上京した辻さんは、大学卒業後に都内そば店でのアルバイトで基本を学び、帰郷後は父の下で修業した。一貫して手打ちにこだわり、毎日2時間かけて自ら打った本格的なそばを提供。昔ながらのやや太めのそばが多くのファンを引きつけた。大みそかは夜遅くまで営業し、神社を詣でた帰りに年越しそばをすする人らでにぎわった。

103年続く老舗ののれんを下ろすことになった羽前屋=山形市旅篭町1丁目
 一方、コンビニやチェーン展開の飲食店が増え、中心市街地の活気の衰えもあって、20年前をピークに客足は減り始めた。だが消費税が増税されても1番人気の板そば「羽前もり」(1.5人前)は800円のまま。辻さんは「増税で客が困るのはおかしい。20年以上、値段は変えていない」と手打ち同様、お客さん第一にこだわってきた。

 そんな職人かたぎの辻さんも、さらなる増税には勝てそうになかった。政府が今年10月に10%まで消費税を引き上げる方針を打ち出し、「今でもぎりぎりでやっている。さすがに続けるのはきつい」。値上げしないとのこだわりを曲げることはできず、自身や従業員も高齢になってきたことから昨秋、家族と相談し「ここが潮時」と、店を閉じる決断をした。

 103年間続いた伝統を終わらせることに、複雑な気持ちもある。「自分の代で幕を下ろすのは常連客にも悪いし寂しい。だが、今はやり切った思いが強い」と辻さん。閉店を知った常連客が連日店を訪れ、中には花束を持ってきてくれる人もいる。

 老舗の味を楽しめるのもあとわずか。店内には惜しむように、そばをすする音が響く。子どもの頃から通う50代男性は「自分にとってのそばは羽前屋。食べられなくなるのは寂しい」。辻さんは「今まで支えてくれた多くの人に感謝している」と語り、のれんを下ろすその日まで、こだわりを貫く覚悟だ。

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