県内ニュース

一夜明け…爪痕あらわ 本県沖でM6.7地震

2019年06月20日 07:24
瓦屋根が崩れ落ちた萬国屋の正面玄関。送迎車に直撃した=19日午後0時17分、鶴岡市湯温海
 庄内地方で最大震度6弱を観測した地震から一夜明けた19日、残された爪痕の大きさが明らかになった。中でも鶴岡市温海地域は被害が甚大で、あつみ温泉では施設の損壊に加えて源泉の供給設備が損傷。お湯が止まり、八つの宿泊施設と共同浴場は臨時休業を余儀なくされた。営業再開の見通しは立っておらず、周辺店舗にも余波が広がる。避難所に身を寄せる地元住民は先の見通せない状況に不安を抱いたまま、2日目の夜を迎えた。

あつみ温泉、お湯止まり臨時休業
 大地震は、足湯や散策を楽しむ観光客でにぎわうはずの温泉街に大きな傷痕を残した。旅館の看板が倒れ、瓦屋根が崩れ落ちるなど、外を出歩く人の姿はまばら。分厚い雨雲が重苦しさに拍車を掛けた。

 老舗旅館・萬国屋の正面玄関。瓦屋根が直撃し、無残な姿になった送迎車があった。地震直後、148人の客をロビーに避難させ、その場で布団を敷いて夜を明かしてもらったと語った佐藤太一社長。今月いっぱい休業せざるを得ない状況に「最盛期で痛いところだが(お客さんの)安全が第一。前を向いていくしかない」と力を込めた。

 温泉の生命線である源泉も直撃を受けた。タンクに穴が空き、源泉の湯が流れ出ていた。各施設に湯を送る配管2カ所も破損し、湯が供給できない状態。宿泊施設と共同浴場11施設が19日の営業を取りやめた。「少なくとも過去30年で湯が止まったことはない。できる限り早期に復旧させる」と源泉組合の鹿野庄逸さん。上山市で資材調達するなど、20日の供給再開を目指し駆け回っていた。

 地酒などを取り扱う萬来屋酒店では日本酒やワイン、ウイスキーなど数十本が落ちて割れ、床一面が酒浸し。店内には酒の香りが残ったままだ。土産品として地酒を買い求める人も多く、旅館の休業は大きな痛手。店主佐藤満也さんは「旅館が再開するまで不安は続く。早く観光客が戻ってほしい」と願った。

 温海地域は他の地区も被害を受けた。小岩川地区では道路の地割れや、外壁に入った亀裂などが被害の大きさを物語る。主婦阿部由美さんは「余震があるかもしれないと思うと不安」と心配そう。同市鼠ケ関地区の主婦佐藤延子さん方も屋根の瓦がはがれ落ちた。「雨が降って作業も大変」と疲れた表情をのぞかせた。

大山の酒蔵、酒瓶落下
 酒造のまちとして知られる鶴岡市大山地区では、酒蔵が地震で大きな被害を受けた。大山3丁目にある加藤嘉八郎酒造では倉庫に積んでいた出荷前の酒瓶が多数落下し、破損した。蔵の土壁も無残に崩れ、社長室付醸造担当の加藤嘉隆さん(44)は「相当なエネルギーだったのだろう。こんな経験は初めて」と硬い表情。片付けに向かう従業員に「余震が来るかもしれない。身の安全を優先して」と呼び掛けた。

大泉小の相撲場、柱折れ屋根崩落
 鶴岡市白山の大泉小では敷地内の相撲場の屋根が崩落した。4本の木製支柱のうち3本が根元付近から折れて土俵が屋根に押しつぶされた。激震を物語る無残な形状となり、カメラを構える報道陣の姿が絶えなかった。現場には警察の規制線が張られ緊迫した雰囲気に。調査の様子を教職員や付近住民が不安そうに見つめていた。

地震直後から次々と住民が集まった避難所=19日午前0時41分、鶴岡市豊浦中
避難所「津波が心配で」
 鶴岡市豊浦中には地震発生直後から住民が集まり、一時250人以上が身を寄せた。不安そうな表情でテレビを見つめ、地震の被害状況を確認する姿もあった。発生当時、就寝中だったという会社員男性(46)は「ドーンという音がして飛び起きると、すぐにガタガタと揺れだした。津波が心配で、何も持たずに避難した」と振り返った。

 大きな被害を受けた温海地域。温海温泉林業センターに同居する母親と一緒に避難した会社員男性(62)は「足の踏み場もないほど物が落ちてきた。本当に驚いた」とした上で、安全面から帰宅のめどが立っていない状況に「いつまで避難生活が続くか分からず不安だ」と心配そうに話した。

 鼠ケ関小に避難した会社員女性(30)は体育館で一夜を明かし、19日早朝に帰宅。不安でほとんど眠れなかったといい、「鼠ケ関は1番安全な土地だと思っていた。こんな大きな地震は想像がつかなかった」と困惑し、「避難訓練はしていたが、いざとなると慌てた」と語った。

避難所となった温海温泉林業センターに本紙が配布され、熱心に読む女性=19日午前7時41分、鶴岡市湯温海
 自ら定めた“避難所”に逃げた酒田市の無職男性(71)は東日本大震災の経験から「地震の後は必ず津波がくる」と、混雑の危険が少ない山手の駐車帯への避難を決めていた。妻と娘を連れ車で向かうと同様の車両が10台ほどあった。「事前に決めておけば迷わず行動できる」と話した。

避難住民に本紙配布
 山形新聞は19日朝、多くの住民が避難した鶴岡市湯温海の温海温泉林業センターに、地震の一報を伝える同日付本紙を特別配布した。近くの団地から避難したという女性は「ほかの地域の被害がどうなっているのか知りたい」と食い入るように読んでいた。未明まで停電が続き、入手できる情報が限られていたという別の女性は本紙を手に「これほどの地震に遭うとは思わなかった」と話した。

関連記事

by weblio


おすすめニュース

文字サイズ変更
  • 小
  • 中
  • 大

県内8市発行メールマガジン登録無料

ふるさとだより

毎週木、金曜日配信中!

ニュース特集

スポーツ

教育・子育て

おでかけ

暮らし情報

twitter発信中

山形新聞からお知らせ

  1. 【2019年8大事業】
     山形新聞、山形放送の2019年の8大事業が決まりました。詳しくは、こちらから
  2. 【やましん公式FB】
     山形新聞社は、インターネット交流サイト「フェイスブック(FB)」の公式ページを新設しました。
     公式ページでは山形新聞のニュースのほか、本社からのお知らせなどを中心に紹介します。
     アドレスは、こちらから
  3. 【やましんe聞で動画視聴】
     読者限定の電子版「やましんe聞」で動画を閲覧できる新サービスを始めました。詳しくは、こちらから。
  4. ◆中学、高校の各種スポーツ大会の記録を紹介。検索機能も備えています。アクセス方法はこちら
  5. ◆探したい記事がきっと見つかる、山形新聞記事データベース。他社DB横断検索が便利な日経テレコンジー・サーチファクティバ
  6. ◆県外でも今日の朝刊が朝一で読める「お届け電子版
  7. ◆ニュース速報、高校野球、モンテ情報… 身近な情報を携帯で確認「モバイルやましん
  8. ◆故郷の話題をメールでお届け、ふるさとメール会員募集(登録無料)
山形新聞から
販売から