社説

予算案衆院通過後の国会 諸問題究明へ徹底論戦

 2017年度政府予算案が衆院本会議で与党などの賛成多数で可決され、衆院を通過した。憲法の衆院優越規定によって年度内の成立が確定した。

 予算案は、一般会計総額が97兆4547億円と5年連続で過去最大となった。社会保障費が32兆4735億円で全体の3分の1を占め、防衛費は5年連続増で過去最大の5兆1251億円。税収は57兆7120億円を見込み、新規国債発行額は34兆3698億円で歳入全体の35%を超え、借金依存体質が続く。

 政府の総債務は1千兆円を超え、主要国で最悪の財政状況だが、その危機感はなかなか伝わって来ない。わが国の財政をどう立て直すのか。予算案の成立が確定したとはいえ、将来を担う世代への責務として、この国をどう引き渡していくのか厳しく問う視座を保ち、財政再建の議論を深めることを求めたい。

 財政健全化の長期ビジョンを描き、断行することが不可避の課題となる一方で、国内外で喫緊の事案にも直面する。参院予算委員会は28日、安倍晋三首相と全閣僚が出席して17年度予算案の基本的質疑を実施、本格的な論戦が始まった。

 与野党の攻防の焦点は、大阪市の学校法人「森友学園」が大阪府豊中市の国有地を格安で取得した問題。取得価格が評価額より8億円余り安かったことが判明、ごみ交じりの土砂を埋め戻していた疑惑も浮上した。開校が予定される小学校の名誉校長に安倍昭恵首相夫人が就任していたが、問題発覚後に辞任。学園の特異な教育内容も指摘されている。国有地が格安で売却された経緯、学校法人と安倍首相の関係の解明に向け、関係者の国会招致も早期に実施すべきであろう。

 野党は、稲田朋美防衛相、金田勝年法相の答弁が不安定で、閣僚としての適格性を欠くとして攻勢を強める。

 南スーダンに派遣中の自衛隊の国連平和維持活動(PKO)を巡る対応で、稲田氏は省内を掌握できていない実態が浮かび上がった。活動状況を記録した「日報」を統合幕僚監部で保存していたが、情報開示請求に「廃棄済み」と回答。その後に保存していたことが判明しても約1カ月間、稲田氏は知らされなかった。

 国家の安全保障を担う立場として、シビリアンコントロール(文民統制)の観点から適格性が問われよう。昨年7月の大規模紛争については「法的な意味での戦闘行為はない」と答弁を繰り返しているが、派遣されている部隊が置かれている状況、現地情勢を改めて分析し、派遣継続について国会で論議すべきだ。

 共謀罪の構成要件を厳しくした「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案を巡って、金田氏は立法の必要性や捜査対象が一般市民に及ぶ懸念などについて十分な説明ができていない。政府、与党は法案を3月中に提出する方針だが、審議対応にも疑問符が付く。

 指摘されている問題や疑問に対し、安倍政権が正面から受け止め、説明責任を全うしているとは言い難い。与野党伯仲ならば閣僚の進退問題に結び付きかねない状況だが、「安倍1強」を背景に国会論戦はやや緊迫感を欠く。野党には本質を突いた議論を求めたい。今後の論戦での徹底究明が待たれる。

(2017/03/01付)
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