社説

GDP年率1.2%減 景気後退に警戒が必要

 7~9月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比0.3%減、年率換算1.2%減で、2四半期ぶりのマイナス成長となった。減少率は2年9カ月ぶりの大きさである。相次いだ自然災害の影響などで内需、外需ともに不振だった。世界経済の不確実性の高まりを背景に、景気後退の懸念が強まりつつあり、警戒が必要だ。

 GDPの2本柱のうち個人消費は前期比0.1%減(前期は0.7%増)と悪化し、企業の設備投資は0.2%減(同3.1%増)と8四半期ぶりにマイナスに転じた。住宅投資は0.6%増と回復したものの、内需全体は0.2%減となった。輸出も1.8%減(同0.3%増)と5四半期ぶりに減少し、外需全体の寄与度は0.1%減だった。

 特に心配なのは、GDPの約6割を占める個人消費と、緩やかな成長を主導してきた輸出が振るわなかったことだ。豪雨や台風、地震が消費者心理を冷やした上に、工場の一時操業停止や訪日客の支出減少を通じて輸出の足を引っ張った。

 住宅投資はプラスに転じたが、内外需の各項目がほぼ総崩れとなった。自然災害の影響は一時的で景気は10~12月期に回復軌道に戻るという見方があるが、それほど楽観はできない。実際、最近の経済指標は、景気減速の気配を示すものが多い。日銀の9月の企業短期経済観測調査(短観)は、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)が、3四半期連続で悪化した。3期続けての悪化はリーマン・ショック以来約10年ぶりだ。

 9月の景気動向指数は、景気の現状を示す一致指数が2カ月ぶりに悪化し、内閣府は基調判断を「改善を示している」から「足踏みを示している」へ、3年4カ月ぶりに下方修正した。

 10月の世界同時株安による東京市場の大幅な株価下落は、2016年6月に英国の国民投票で欧州連合(EU)離脱が決まって以来の株価調整であり、株価は11月に入っても乱高下している。株価下落は消費者心理や企業活動に悪影響を及ぼす。株価は半年から1年先の景気を先取りするともいわれ、景気の先行きに暗い影が差してきた。

 こうした指標から判断すれば、足元の日本経済は停滞感が強く、10~12月期は2期連続のマイナス成長もあり得るかもしれない。仮にそうなれば、景気が後退局面に入る可能性も出てくる。10~12月期は反動増でプラス成長に戻ったとしても、その先は楽観できない。世界経済が不透明感を増しているからだ。

 米中の貿易摩擦の激化、中国経済の成長鈍化、新興国からの資金流出など、不安要因が山積しており、国際通貨基金(IMF)は10月に世界経済見通しを2年ぶりに下方修正した。これらのリスクが顕在化して世界経済が減速すれば、日本の輸出は打撃を受けて設備投資も抑制され、個人消費にも影響が出る。

 景気後退の可能性に備えて万全の構えが求められる。政府は主要国と緊密に協調し、米中の対立の緩和など世界経済の安定化に努めるべきだ。安倍晋三首相は来年10月の消費税増税や通商問題に対処し内需拡大の景気対策に取り組むよう指示した。知恵を絞ってほしい。

(2018/11/15付)
最新7日分を掲載します。
  • 11月15日
  • GDP年率1.2%減 景気後退に警戒が必要

     7~9月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比0.3%減、年率換算1.2%減で、2四半期ぶりのマイナス成長となった。減少率は2年9カ月ぶりの大きさである。相次いだ自然災害の影響などで内需、外需ともに不振だった。世界経済の不確実性の高まりを背景に、景気後退の懸念が強まりつつあり、警戒が必要だ。[全文を読む]

  • 11月14日
  • 日本外交の今後 米中対立緩和促したい

     日本外交の基軸を日米同盟に置く。その上で、米国に自由貿易体制の重要性を説きつつ、米国との関係が悪化している中国にも目配りする。日本には今後、このようなバランス外交が求められよう。[全文を読む]

  • 11月13日
  • 県水産試験場に新研究拠点 ブランド魚種増に期待

     鶴岡市の県水産試験場(笠原裕場長)に「おいしい魚加工支援ラボ」が完成した。魚介類の鮮度の保持やうま味を引き出すための新たな技術開発などを手掛け、庄内で水揚げされる海産物の価値を高める研究拠点となる。漁業者グループなどに施設を開放し、加工品の試作開発をサポートする機能も備えている。首都圏で高い評価を得、高値で取引されている「庄内おばこサワラ」に続く第二、第三の庄内産ブランド魚の誕生へ、この施設が担う役割は大きい。[全文を読む]

  • 11月10日
  • 新規就農最多344人 農業の担い手育てよう

     就農人口の減少や高齢化が課題となる中で、本県農業に明るい材料である。[全文を読む]

  • 11月9日
  • 携帯電話通信料 低料金プランは明確に

     NTTドコモが携帯電話の通信料の値下げを発表、KDDI(au)、ソフトバンクの2社も値下げ検討を表明した。携帯電話大手の通信料金が高いというのは多くの国民が感じていると思われ、値下げは大歓迎だ。3社とも具体的な料金プランの設計はこれからだが、何か条件をクリアしなければ安くならないような、複雑で分かりにくい仕組みは避けてほしい。利用者が納得できる明確な低料金を求めたい。[全文を読む]

  • 11月8日
  • 米中間選挙 分断への不満、浮き彫り

     米国内だけでなく、世界の分断も深めようとするトランプ米大統領の政治スタイルに、米中間選挙で多くの国民がノーを突き付けたことは歓迎すべきだろう。ただ忘れてならないのは、トランプ氏の政権基盤が弱体化する一方で、米国の混乱は依然として続くという現実だ。[全文を読む]

  • 11月7日
  • 外国人の就労拡大 拙速を避け説明尽くせ

     政府は新たな在留資格を設け、外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法などの改正案を閣議決定し、国会に提出した。深刻な人手不足を背景に、これまで医師や研究者など「高度な専門人材」に限ってきた在留資格を、単純労働を含む分野でも解禁する。在留期間の更新を重ねれば、永住も可能になる。来年4月の導入を目指す方針だ。[全文を読む]

文字サイズ変更
  • 小
  • 中
  • 大

県内7市発行メールマガジン登録無料

ふるさとだより

毎週木、金曜日配信中!

ニュース特集

スポーツ

教育・子育て

おでかけ

暮らし情報

twitter発信中

山形新聞からお知らせ

  1. 【2018年8大事業】
     山形新聞、山形放送の2018年の8大事業が決まりました。詳しくは、こちらから
  2. 【やましん公式FB】
     山形新聞社は、インターネット交流サイト「フェイスブック(FB)」の公式ページを新設しました。
     公式ページでは山形新聞のニュースのほか、本社からのお知らせなどを中心に紹介します。
     アドレスは、こちらから
  3. 【やましんe聞で動画視聴】
     読者限定の電子版「やましんe聞」で動画を閲覧できる新サービスを始めました。詳しくは、こちらから。
  4. ◆中学、高校の各種スポーツ大会の記録を紹介。検索機能も備えています。アクセス方法はこちら
  5. ◆探したい記事がきっと見つかる、山形新聞記事データベース。他社DB横断検索が便利な日経テレコンジー・サーチファクティバ
  6. ◆県外でも今日の朝刊が朝一で読める「お届け電子版
  7. ◆ニュース速報、高校野球、モンテ情報、おくやみ… 身近な情報を携帯で確認「モバイルやましん
  8. ◆故郷の話題をメールでお届け、ふるさとメール会員募集(登録無料)
山形新聞から
販売から