社説

新年度政府予算成立 透明度高め厳正執行を

 2017年度政府予算が成立した。27日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決された。一般会計総額は97兆4547億円で過去最大。安倍晋三首相が「早期成立が最大の景気対策」として年度内成立を目指してきた新年度予算は、16年度第3次補正予算と合わせて景気浮揚効果を発揮できるか問われることになる。

 予算審議が参院に移って以降、国会の論戦は学校法人「森友学園」への国有地格安払い下げ問題などに集中した。国民は動向を注視し、国の予算執行に一段と厳しく目を向けていくことになる。不信を招かないように透明度を高め、より厳正な予算執行を求めたい。

 予算の一般会計総額は5年連続で過去最大になった。高齢化の進展に伴って年々膨らむ社会保障費は32兆4735億円と全体の3分の1を占める。北朝鮮によるミサイル発射などを踏まえて防衛費は5年連続過去最大の5兆1251億円を計上した。公共事業関係費は16年度当初から26億円増の5兆9763億円で防災対策や経済成長につながるインフラ整備に重点を置いた。

 一般会計税収は経済成長を前提に16年度当初予算比1080億円(0.2%)増の57兆7120億円。新規国債発行額は622億円(0.2%)減の34兆3698億円と7年連続で縮小し、国債依存度は0.3ポイント低い35.3%となった。

 国と地方自治体が抱える借金の残高は17年度末時点で、国内総生産(GDP)の2倍の1094兆円になる見通しだ。現状は、日銀が金融緩和策を維持し、長期金利を下げていることで利子の支払いも抑えられているが、金利が上がれば借金が雪だるま式に膨らむ懸念もある。予算審議で財政再建などを巡る議論が尽くされたとは言い難い。将来を担う世代が確かな展望を持てるように議論を深め、財政に絡む根本的な課題に道筋を付けていくことが求められる。

 日銀は先の金融政策決定会合で国内景気の現状判断について「緩やかな回復基調を続けている」と前回と同じ見方を示した。その一方で都市部と地方の温度差を指摘する声は根強い。20年の東京五輪・パラリンピックを控え、景気持続、拡大に寄せられる期待は大きいが、首都圏に予算の投下が集中することになれば、都市―地方間の格差が一層拡大することになりかねない。景気を支えていく上でも地方創生関連施策を含め、地方への予算配分はより重視されるべきであろう。

 予算成立に伴って通常国会は6月18日の会期末に向けて後半戦に入る。森友学園疑惑や南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の「日報」隠しなどは行政の公正さや透明性が問われている。政府予算に国民の信頼を担保していく上でも疑惑の徹底解明は欠かせない。

 後半国会はさらに天皇陛下の退位を巡る特例法案と、共謀罪の構成要件を変えた組織犯罪処罰法改正案が焦点になる。政府は有識者会議の検討を経て、退位を巡る特例法案を5月上旬にも提出する方針。テロ等準備罪を導入する法案は金田勝年法相の答弁が不安定で法改正の妥当性が説明できておらず、慎重な審議が求められるのではないか。国民の理解をベースにして徹底した議論が必要だ。

(2017/03/28付)
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